明日から秋の彼岸です。
タイトルの「葉見ず、花見ず」は曼珠沙華(マンジュシャゲ)の別名です。
9.16撮影
なぜこんな名前がついたかというと
花を観るときに葉がない、
葉が出た時には花がないからです。
これが葉っぱ。葉が出た時には、もう花はない。
このほか、この花にはいろんな呼び名がありますね。
彼岸に咲くからヒガンバナは、みなさんよくご存じのこと。
まだあります。
死人花、幽霊花、捨て子花など不吉なイメージの別名もあります。
高麗の巾着田に劣らぬ八千代市の公園(9.16撮影)
マンジュシャゲはなぜ一斉に咲くのかと
不思議がる人がおりますが、これはクローンだからです。
この花は不稔(種子ができない)です。
ちょっと専門的な言葉でいいますと
染色体のまとまりが三倍体※だから種子ができないのです。
したがってマンジュシャゲは
球根が分かれて増えてゆきます。
田圃のあぜ道、お墓、川の土手など全国どこでも見受けられますが
球根が一人歩きするのでしょうか?
※印と、答えは続き欄に記します。
◆◆◆
種子ができる植物は
小鳥や動物あるいは風が遠くへ運んでくれます。
しかし、種子の出来ないのマンジュシャゲは生えた場所に留まるだけです。
遠い昔、原産地中国から日本にやってきて
人の手で全国に植えられてきた植物なのです。
田圃や土手に有るのは、
この球根が地中へ引き込む性質を持つので
畦や土手が崩れるのを防ぐ為です。
一方、お墓にあるのは
彼岸の時季に咲くので先祖への手向け花として
植えられた場合もありますが
球根に毒があるので
土葬時代、害獣や虫に墓が荒らされないように
植えたという説もあります。
墓地に咲くので死人(しびと)花とか幽霊花などと
呼ばれるようになったようです。
江戸時代の飢饉のとき、
これが命を救う食糧になった歴史もありますね。
わが家の先祖の墓地は、離れた場所3か所に分散しています。
そのうちの一か所には
毎年マンジュシャゲがびっしりと咲き誇ります。
ここに並ぶ集落の古い墓石をみると、
同じころに多くさんの村人が亡くなっていることがわかります。
いずれも飢饉の年(天明、天保)に一致します。
墓参りの都度、この花に隠された歴史を感じます。
![[サッカー]](https://blog.seesaa.jp/images_e/25.gif)
※三倍体:植物が子孫を残す場合、染色体を半減する減数分裂が起きる。植物が種子を作るためには、花粉(雄)と種子のもとになる胚珠(雌)とに染色体を二分する必要がある。花粉と胚珠が受精することで、元の染色体の数(偶数)になる。ところが3セット(奇数)しかできないものがある。これをいう。正常に受粉して種子を作るためには、奇数ではダメなのだ。よって、三倍体の植物は種子ができない。
自然界ではヤブカンゾウやスイセンなどがある。
種無しスイカや、タネの出来ない市販の花卉は人工的に三倍体に加工してある。◆
この記事へのコメント
Take-Zee
ヒガンバナの葉を知っている方はかなり
少ないと思います("^ω^)・・・
人も葉見ず。
きよたん
勉強になりました
曼珠沙華は小さい頃に必ずお墓で見ていて
印象に残った花でした。
今はお寺に彼岸花がありません
chiho
存在するすべてに奥深い意味があるのですね。
Baldhead1010
こちらでは「シーレー」と呼ぶところもあります。
死霊から来てるのでしょうか。
家の横では毎年実をつける赤い曼珠沙華があり、その種を播くのですが、なかなか発芽が見られません。
yoko-minato
曼殊沙華には色々な言い伝えがあるのですね。
昔の人たちの知恵は本当に的を得ていることが
多いのにびっくりします。
別名で相思花ともいわれてお互いに相手を想い
葉を出し花を咲かせるなんて使われたりしていますね。
栗や柿の木が庭にあるなんて素敵です。
栗の実は冷凍庫で保存すると持つようですね。
和菓子屋さんは1年中お菓子を作ることが可能だそうです。
夏炉冬扇
こちらも彼岸花盛り。
斗夢
子供の頃は縁起の良くない花だと云われていました。
mm
素敵なお写真ですね~ 我が家の方は白と赤が別々の所にあります^^
昔は忌み嫌われていたのか、実家でもこのお花は植えたことなかったです。でも、今はそういう負のイメージは全然ないです。
OJJ
g_g
不思議と彼岸近くなると咲く花だとは思っていましたが
三倍体の説明で納得致しました。